ベースオイルの種類


エンジンオイルはベースオイルに添加剤を配合して出来ています。
添加剤は熱に弱く、寿命も短い為、長期間の使用や、高温使用後は
ベースオイルの性能に頼る事になります。
ベースオイルの種類は大きく分けて4種類です。
 1.植物油
  フリクションロス(摩擦抵抗)が少なく油膜強度は合成油よりも強く、
  潤滑性能も良いが、酸化しやすく、寿命は短いため、レース車に使用される。

 2.鉱物油(ミネラル)
  原油から精製されたオイルで安定はしているが、不純ロウ分や有害な成分も
  含まれています。また、原産地によって、オイルの性能が大きく左右します。
  原価は安くすみます。

 3.化学合成油(シンセティック)
  人の手でオイル用として作ってしまったのが合成油です。合成油の中でも
  代表的なのがPAO(ポリアルファオレフィン)とエステルがあり、
  エステルも進化して、数種類のエステルがあります。この種類と性能は
  代表的なエステルを下にまとめます。原価が高くつくがPAOは
  摩擦係数だけを見ると鉱物油に劣ります。

 4.上記のオイルの混成油
  化学合成油、特にエステルは性能はよいのですが、高価になってしまいます。
  そこで、作られたのが、鉱物油と化学合成油を半分づつ混ぜた半化学合成、
  鉱物油に手を加えた、部分合成油などがあります。

ベースオイルの性能比較
エステル PAO(ポリアルファオレフィン) ミネラル(鉱物油)
極性による金属親和性あり 極性を持たない 極性を持たない
化学的柔軟性がある 分子構造の変更は出来ない 化学的柔軟性無し
優れた潤滑性 潤滑性なし元は乾燥した物質 含有イオン分により左右される潤滑性
高い耐荷重特性 特に優れた耐荷重特性は無い 若干の耐荷重特性あり
極めて強い油膜形成力
(加圧流体弾性による)
特別な加圧流体弾性は無い 特別な加圧流体弾性は無い
優れた高温安定性 優れた高温安定性 かなり劣った高温安定性
優れた耐揮発性 優れた耐揮発性 耐揮発性は低い
優れた低温流動性 優れた低温流動性 流動性は低い
高粘度指数 高粘度指数 粘度指数は低い
低い摩擦係数 摩擦係数は高い エステルとPAOの中間の摩擦係数
優れた清浄分散性 清浄性はない エステルよりは劣るが分散性は有る
生分解性 粘度により変化する生分解性 生分解は困難
     
超高温で使用される航空機,
産業機械,自動車で使用される
超高温で使用される航空機,
産業機械,自動車で使用される
使用は不可

グラフ
グラフ 長所
 安価で供給安定性に富む
 極性が低く添加剤の効果が素直に出やすい
短所
 熱・酸化劣化を受けやすい
 高温での揮発性が大きい
グラフ 長所
 加水分解しない
 極性が低く添加剤の効果が素直に出やすい
短所
 添加剤の溶解性は若干劣る
 シールを収縮させる事が多い
グラフ 長所
 温度による粘度変化が少なく、低温特性が良い
 潤滑性に優れる
短所
 加水分解や酸化に弱い
 シールを膨潤させる事が多い
グラフ 長所
 酸化安定性、耐熱性、潤滑性などバランスが良い
 低粘度でも揮発性が低い
短所
 高粘度品を作りにくい
 シールを膨潤させる場合がある
グラフ 長所
 酸化安定性、耐熱性、潤滑性などバランスが良い
 低粘度でも揮発性が低い
短所
 高粘度品を作りにくい
 シールを膨潤させる場合がある
グラフ 長所
 酸化安定性、耐熱性、潤滑性などバランスが良い
 シールの膨潤性が低い
短所
 低粘度品を得にくく、製品の処方に制約をうけやすい
 高価である


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