エンジンオイルの規格の見方


現在、オイルの規格はいろんな会で定めた品質規格や粘度規格が存在します。
種類 規格名 会名 説明
品質規格 API 米国石油協会 国際的に使用されるエンジンオイルの
性能分類規格でよく知られています。
SAE(米国自動車技術者協会)、
ASTM(米国材料試験協会)とAPIで制定される
API規格の認証マークの受け付け、登録の
発行などを行っています。
ILSAC 国際潤滑油
標準化委員会
米国自動車工業会と日本自動車工業会で
組織した同委員会で制定したのがILSAC規格です。
APIのSL規格で承認され更に省燃費性、
大気汚染防止に係わる要求項目が加わった規格。
0W-30、5W-30、10W-30のオイルが主流。
現在のILSAC最高規格であるGF-3を取得するには、
新油だけでなく使用油の燃費テストが課せられ、
省燃費性能において初期性能と耐久性能を
要求される厳しい規格です。
CCMC 欧州石油協会 ヨーロッパ車のエンジンを使用し、APIの検査項目にない
オイルの酸化安定性などを検査します。
ACEA 欧州自動車工業会 1996年1月、「CCMC」にヨーロッパフォードと
オペルが加わりACEAとなりました。
APIのSHとCCMCの両方について検査されています。
JASO 自動車技術者協会 日本のJIS規格の1993年度改正版
この規格は品質の目安としては”最低 品質基準”の規格
粘度規格 SAE 米国自動車
技術者協会
オイルの粘度を表す番号。この粘度番号を知ることで、
使用条件に合う適正な粘度のエンジンオイルを
選ぶことができます。

品質規格でよく使われるAPI規格とは
現在発売されているオイルはSE〜SLです。Lに近い方が良いオイルと思われがちですが
レーシングオイルの中にはSLよりSGの方が高回転向きのオイルも存在します。
SL、SJには、低燃費性や、触媒の保護などの基準も入っているため、
エンジンオイルの本来の役割の性能を下げなければいけない事があるためです。
しかし、通常使用においては、SLに近い方が全体的には良いオイルと思ってください。
下に一覧をまとめてみました。
用途 API 説明










 
SA  無添加純鉱物油。添加油を必要としない軽度の運転条件のエンジン用。特別な性能は要求されない。
SB 添加油。添加剤の働きを若干必要とする軽度の運転条件用。スカッフ防止性、酸化安定性および軸受腐食防止性を備えることが必要。
SC 1964年から1967年式までの米国乗用車およびトラックのガソリン専用。ガソリンエンジン用として、高温および低温デポジット防止性、摩耗防止性、さび止め性および腐食防止性が必要。
SD 1968年式以降の米国乗用車およびトラックのガソリン専用。
デポジット防止性から腐食防止性まで、SCクラス以上の性能が必要。
SCクラスの用途にも使用可能。
SE 1971年以降の一部および1972年式以降の米国乗用車および一部のガソリントラック車用。酸化、高温デポジット、さび、腐食などの防止に対し、SA、SC油よりもさらに高い性能が必要。
SF 1980年式以降の米国乗用車および一部のガソリントラック車用。
酸化安定性および耐摩耗性においてSEよりもさらに高い性能が必要。
SG エンジンメーカー推薦下で運転される1989年以降のガソリン乗用車、バン、軽トラックに適応。SG油はAPIサービス分類のCC級(ディーゼル用)の性能も含み、以前の等級に比べてデポジット、酸化、摩耗、さび、腐食などの防止に対しさらに高い性能が要求される。
SH エンジンメーカー推薦下で運転される1993年以降のガソリン車に対応。SGの最低性能基準を上回る性能を有し、耐デポジット性能、耐酸化性能、耐摩耗性能および耐さび性能、防食性能でSGに代わるもの。DID-CID-A-A-52309およびILSAC/GF-1などエンジンメーカー規格のシークエンス試験要求性能に合致していること。
SJ エンジンメーカー推薦下で運転される1996年以降のガソリン車に適用。SHの最低性能基準を上回る性能を有し、耐ブラックスラッジ性能、耐酸化性能、耐摩耗性能および耐さび性能、防食性能でSHに代わるもの。ILSAC/GF-2など、エンジンメーカー規格のシークエンス試験要求性能に合致していること。
SL エンジンメーカー推薦下で運転される2001年以降のガソリン車に適用。SJの最低性能基準を上回る性能を有し、高温時におけるオイルの耐久性能・清浄性能・酸化安定性を向上すると共に、厳しいオイル揮発試験に合格した環境対策規格。
SM  省燃費規格
これまで一番厳しい規格であったSL規格よりも、省燃費性能の向上、有害な排気ガスの低減、エンジンオイルの耐久性を向上させた環境対応オイル。またこれまで試験の無かった劣化油の低温粘度を計る試験が追加され、低温流動性、酸化劣化に優れたベースオイルを使用する必要がある。


I








 CA  軽度から中程度条件のディーゼルおよび軽度条件のガソリンエンジン用、ただし良質燃料使用を条件とし、この条件下での軸受腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。
摩耗防止性およびデポジット性は必要としない。
CB 軽度から中程度条件のディーゼルエンジン用であるが、低質燃料使用時の摩耗およびデポジット防止性を必要とする。
高硫黄分燃料使用時の軸受け腐食防止性および高温デポジットも必要。
CC 軽度過給ディーゼルエンジンの中程度から過酷運転条件用。高負荷運転のガソリンエンジンにも使われる。
軽度過給ディーゼルでの高温デポジット防止性、ガソリンエンジンでのさび止め性、腐食防止性および低温デポジット防止性が必要。
CD 高速高出力運転での高度の摩耗およびデポジット防止性を要求するディーゼルエンジン用。
広範な品質の燃料を使用する過給ディーゼルを満足させる軸受け腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。
CE 1983年以降製造のヘビーデューティーの過給ディーゼルエンジンで低速高荷重と高速高荷重で運転するものの両方に用いる。CD級よりさらにオイル消費性能、デポジット防止性能、スラッジ分散性能を向上させたもの。
CF 建設用機械および農業用機械などいわゆるオフハイウェイディーゼルエンジン用に開発された油で、CDに代わるものとして、性能を向上したもの。
CF-4 1990年代の低硫黄(0.5%以下)の軽油を使用するオンハイウェイ大型トラックなど最も過酷な条件で運転されるディーゼルエンジン用で、CEに比べ特にデポジット性能、スラッジ分散性の向上を図るとともに、熱安定性およびオイル消費防止性を向上したもの。


SAE粘度指数とは
オイルの粘度(粘りけ)を表す番号。
10W-40を例にとりますと10Wの「W」はWinterを略したもので次のような意味を表します。
「W」の前の数字が小さい程低温でも硬くなりにくく低温始動性に優れます。
「W」の後ろの40の数字が大きいほど粘度が高く、高温時でもしっかりとした
油膜を保ちます。

CCS(コールドクランキングシュミレーター)粘度:
 エンジンオイルの低温クランキング粘度(ピストンが上下する粘度)。
 低温始動性の目安となる粘度
ポンピング粘度:
 規定された温度でオイルパンからポンピングできる限界粘度

簡単に説明すると、10Wの場合、−20℃以下では使用できないというこなり、
40の数字が小さくなるほど高温時に粘度が保てなくなります。
SAE粘度
グレード
  低温側    高温側  150°C 
CCS粘度
(温度)
ポンピング粘度
(温度)
動粘度cSt(100°C) HTHS粘度cP
0W  3250cP(−30℃)  6000(−40℃)  3.8  −      −  
5W  3500cP(−25℃)  6000(−35℃)  3.8  −       −   
10W  3500cP(−20℃)  6000(−30℃)  4.1  −       −   
15W  3500cP(−15℃)  6000(−25℃)  5.6  −       −   
20W  4500cP(−10℃)  6000(−20℃)  5.6  −       −   
25W  6000cP( −5℃)  6000(−15℃)  9.3  −       −   
20     −     −      5.6< 9.3  2.6 
30     −     −      9.3<12.5  2.9 
40     −      −     12.5<16.3  2.9
40     −     −      12.5<16.3  3.7
50     −     −    16.3<21.9  3.7 
60     −     −    21.9<26.1  3.7 


まとめ
 
グラフ
よくこのように表に表されますが、30や40の数字は外気温に関係は無いと思ってもらった方が
いいと思います。上の表だと、10W−30は外気温が45℃以上では使えないことになりますが
発熱量の少ないエンジンであれば問題ないからです。
反対に外気温が30℃であっても、ターボ車などの発熱量の多いエンジンであれば、
全開走行を続ければ油膜を維持できなくなってしまいます。
Wの方も一番硬い粘度のもので−5℃。通常は20W以下のオイルがほとんどですので
こちらの方はよほど、寒い土地でない限りはあまり気にしなくていいと思います。
では、右側の数字はどう選べばいいのでしょう?
上の説明だけですと、50や60を選べば問題ないように思いますが、粘度が硬くなれば、
それだけ、エンジンの回転の抵抗になってしまいます。さらさらの水の中では早く泳げても
泥のなかでは早く進めないのと同じです。
結局、パワーダウンや、レスポンスの悪さ、燃費の悪化に繋がってしまいます。
最近の低燃費車は0W−20を指定している車もあります。
確かに燃費はよくなりますが、油温が上がりやすい状態のなかではどうかと思います。
エンジンの仕様、車の用途、外気温など総合的に考えて決めなければなりません。
わからない場合はお店の人と良く相談してください。


BACK TOP HOME









からしれんこんランキングに参加してね